北海道志

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北海道志(ほっかいどうし)は、明治初期の北海道の開拓の状況を政治経済、産業文化、風俗、地理、天文地象、事績などの区分によって総合的に記述した地誌で、明治17(1884)年3月に開拓使の編集により大蔵省から刊行された。明治2(1869)年設置の開拓使により大きく変貌した当時の北海道の状況を知る上で極めて貴重な史料の一つ。全35巻のうち「巻之二十二」には、屯田兵の一項が立てられ、屯田兵制度の導入の経緯と琴似、山鼻、江別兵村の開拓の状況が記述されている。
「北海道志」の大蔵省判は和本25冊に及ぶ大著だが、明治25(1892)年には上下2巻の普及版が再刊され、さらに昭和48(1973)年にこの復刻版(歴史図書社刊)が刊行された。

目次

内容と仕様

内容・構成

  • 第1巻 総叙(開拓使と群区の沿革、旧土人戸口表など)
  • 第2巻〜10巻 地理(主要都市の市街図、官営施設の図を含む)
  • 第11巻〜15巻 風俗(産業を含む)
  • 第16巻〜29巻 政治(兵防、鉱業、学校、運輸を含む)
  • 第30巻〜33巻 外事
  • 第34巻 物産(動植物)
  • 第35巻 雑記(天変地異、火災、疾病など)

仕様・規格

大蔵省判の『北海道志』は、和綴り25冊、概ね国郡別に記述され、漢字体の文章にペン画による図表が随所に添えられている。 再刊・復刻版の『北海道志」は、上下2巻で本文計916ページ、下巻付表として「気候測量」のデータ集が付いている。


エピソード

北海道に関する地誌としては、新井白石による『蝦夷志』(享保5年)以来、『松前志』(天明3年・松前広長)『蝦夷拾遺』(天明6年・山口玄六郎)『北島志』(豊田亮)「蝦夷史料』(前田夏蔭)などがあった。また、開拓使は年次別の『開拓使事業報告』を編纂していたが、北海道開拓の集大成とも言える地誌の編纂には、開拓長官・黒田清隆の強い意向があったとみられる。編纂作業は開拓使設置10年目の明治13(1880)年2月にスタートし、主任の開拓使四等出仕・猪野中行は、資料と原稿を抱えて東京、函館、東京と赴任先を移動した。この間に近火の巻き添えを免れるなどアクシデントもあったが、明治16(1883)年12月無事校了し、当時内閣顧問となっていた黒田の序文が添えられた。

屯田兵との関連

外部リンク

屯田兵手帳の復刻版(屯田兵条例以降のページは参考として追加したものです)。

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