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北海道屯田倶楽部は、明治7(1874)年の屯田兵制度創設から150周年の記念事業として、琴似屯田2世の山田勝伴氏が自身の体験と収集した膨大な史料に基づき執筆した『開拓使最初の屯田兵 琴似兵村』(昭和19年刊)の復刻版を近く刊行します。原書は、太平洋戦争末期にガリ版で刷られ、現在では、ごく一部の図書館にしか所蔵されておらず、ながらく「幻の書」と呼ばれてきました。
幕末の北方警備と蝦夷地移住など屯田兵史の黎明期から書き起こし、現役、予備役、後備役、兵役満期後の各時代区分に沿って、兵村の変遷と屯田兵の実像が詳細に綴られています。その内容は、戦後編纂の市町村史における屯田兵史の記述のベースとなるなど、極めて史料的価値の高いものです。
兵村の実像を描いた「幻の名著」
屯田兵研究のバイブルといわれる『北海道屯田兵制度』(上原徹三郎著・大正3年刊)が、拓殖政策の視点から総合的に屯田兵制度を検証・評価したのに対して、『開拓使最初の屯田兵』は、兵村の変遷を間近に見てきた屯田兵家族としての視点、さらには、北海道庁殖民部の吏員としての視点から、よりリアルに兵村の実像を伝えている点に特徴があります。兵村育ちだからしか知り得ない秘話やエピソードも含まれ、66歳を目前にして筆を振るった著者の執念さえ感じられます。
復刻版『開拓使最初の屯田兵』は、『屯田兵公有財産をめぐって』『屯田兵日記』に続く「屯田フロンティア双書 第3巻」として刊行するものです。復刻に当たっては、1,忘れ去られようとしている屯田兵の歴史や兵村の実像を後世へ伝えたい、という著者の執筆意図 2.学術研究よりも一般の人々の屯田兵に関する理解を広げ・深める、という「屯田フロンティア双書」の目的~を考慮し、概ね高校2年生程度の知識・理解度を有する読者を想定して、読みやすく、分かりやすく再編集しております。
【予約申し込み】
本書は、一般書籍サイズの四六版で本文約280ページ。本令和6年6月末の刊行を予定しています。頒布価格は1,800円(税込・送料別)で、会員・会友については優待価格で頒布いたします。購入の予約申込、お問い合わせは、編集部で受け付けております。(直接販売方式のため書店での店頭販売は予定しておりません)
【公開セミナーの開催】
『開拓使最初の屯田兵 琴似兵村』の刊行に合わせて、6月23日(日)午後2時より札幌エルプラザ(札幌市北区北8西3)の4階研修室で、「最初の屯田兵」をテーマに、一般市民対象の公開セミナーを開催します。定員70名で、受講無料。参加希望は、事前に編集部にお知らせください。
【お申込・問い合わせ先】
北海道屯田倶楽部編集部 電話: 011-676-4101 FAX:011-676-6145
電子メール: post@tonden.org
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【開拓使最初の屯田兵の主な内容】
第一章 諸論
〇琴似屯田兵村の地理及び開村〇屯田兵の始まり〇屯田兵編成の計画〇琴似屯田地の選定・兵屋の設計○兵屋の建築〇屯田兵の徴募・屯田兵の編制〇屯田兵の給与〇屯田兵給与地〇屯田兵の服装〇屯田兵の娯楽
第二章 現役時代
〇屯田兵の練兵と演習〇移住当時の作業〇移住当時の開墾〇用水溝の開削〇備荒貯蓄〇授産の方針〇養蚕と製麻の奨励〇西南の役出征〇戦闘の状況〇凱旋と論功行賞〇戦没者と招魂碑 〇御巡幸の警備〇兵村の行政〇兵村の教育〇兵屋の検閲〇憲兵勤務〇殖産の状況〇畜産の奨励〇新琴似屯田と排水工事〇屯田兵出身士官の転出〇屯田兵制の改正と其の幹部〇屯田兵及家族教令の示達
第三章 予備役時代
〇屯田兵司令官の論告〇地区改正と兵屋移転〇屯田銀行の開業〇兵村事業資金の利用〇日清戦役
第四章 後備役時代
〇兵村監視区長の駐在〇公有財産取扱委員会〇土地所有権保存登記〇追給地の交換〇公有財産の利用〇後備役満期後に於ける公有財産の取扱〇琴似屯田兵村部落管理者
第五章 兵役満期後の琴似
〇琴似村役場と其の理事者〇戸数及人口〇土地利用〇産業の状況〇教育及衛生〇文化施設〇聖駕奉迎〇土着屯田兵子孫
第六章 琴似屯田出身の将校略伝
〇三澤 毅〇懸左門〇太田資忠〇中村家起○林源次郎〇山田 貞介〇富田貞賢〇安孫子倫彦〇牧野清作〇伊藤能道〇小川雅之助
附録
〇所感
2024年5月9日木曜日
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