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=== 屯田兵条例 ===
 
=== 屯田兵条例 ===
  
 [[屯田兵条例]](明治七年十月三十日制定)
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 [[屯田兵条例]](明治十八年五月五日、太政官第十八号達)<br>
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 屯田兵条例左ノ通相定候条此旨相達候事<br>
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 明治十八年五月五日太政大臣公爵三条実美<br>    
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== 第一章 総則 ==
  
 緒言
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第一条 屯田兵ハ陸軍兵ノ一部ニシテ北海道枢要ノ地ニ配置シ本道ノ警備ニ充ツ但第七軍管管下請県ニ全ク徴兵令ヲ施行スルニ至レハ之
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ヲ廃スルモノトス
  
 開拓ノ業漸ク緒ニ就キ、戸口従テ繁殖ス。之ヲ保護スルノ兵備ナカルヘカラス。故ニ今般政府ノ允許ヲ経、往古兵ヲ農ニ寓スルノ意ニ基キ、屯田兵ノ制ニ做ヒ、新ニ人民ヲ召募、兵隊ニ編入シ、永世其地ノ保護ヲ為サシム。凡ソ其選ニ當ル者専ラ力ヲ耕稼ニ盡シ、有事ノ日ニ方テ其長官ノ指揮ヲ受ケ、兵役ニ従事スベシ。故ニ平生農隙ノ日ヲ以テ調練ヲナシ、極テ闕乏ナキヲ要ス。因テ條例規則ヲ左ニ掲ク。
+
 其本部ハ之ヲ札幌ニ置ク
  
 編制
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第二条 屯田兵ノ建制ハ概ネ歩兵隊ニ基クト雖モ兵ヲ農ニ寓スルノ主旨ニ依リ平常ハ給与ノ家屋ニ居住シ開墾耕稼ノ事ニ従ハシメ有事ノ日ニ方リテ戦列隊ニ編成シ敵衝ニ当ラシム
  
 一、屯田兵ハ徒歩憲兵ニ編成シ有事ニ際シテ速ニ戦列兵ニ轉スルヲ要ス
+
第三条 屯田志願者(函館県札幌県根室県及沖縄県ノ在籍者ヲ除ク)中身体強壮且ツ年齢十七歳以上三十歳以下ノ者ヨリ撰用ス
  
 一、上下士官ノ数多キヲ以テ聯隊、大隊等ニ属スル列外諸員ノ内平常ハ格別ニ之ヲ置カサルモノ多シ、故ニ聯隊、大隊ノ長官適宜ニ編成諸隊ヨリ取リテ其員ヲ充タスヘシ
+
第四条 屯田兵タル者ハ其家族ト共ニ北海道ニ移住シ兵役ニ服スルモノトス
  
 一、屯田兵ノ一伍ヨリ組テ終ニ聯隊ニ至ル即チ左ノ如シ
+
 其服役期限ハ予メ之ヲ定メス故ニ服役者死亡スルカ其他事故アリテ免除セサルヲ得サル時又ハ年齢四十歳ニ至レハ其子弟ヲシテ兵役ヲ相続セレム但幼弱ニシテ未タ服役ニ堪ヘサル者ハ其成長ヲ待テ服役セシム
  
 但シ一分隊ハ六伍、一小隊ハ四分隊、一中隊ハ二小隊、一大隊ハ二中隊、一聯隊ハ三大隊ニシテ之ニ附属スル諸官ヲ合ス者ナリ
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第五条 屯田兵ノ将校下土及ヒ兵卒ハ第六条ヨリ第十三条迄ニ依リ其進級ヲ為スモノトス<br>
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 但進級法ハ其最下限ヲ示ス者ナルヲ以テ之ヲ超ユル者ト雖モ必シモ直チニ進級セレムルノ例ニアラス
  
 一、伍 準伍長一名、兵卒四名
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第六条 屯田兵卒ハ入隊後六ヶ月ノ後生兵学卒業ノ上二等卒ヲ命ス
  
 一、分隊 六伍、準少尉分隊長一名、準軍曹二名、準伍長六名、兵卒二十四名合計三十三名
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第七条 一等卒ハ屯田兵二等卒ノ服役六ヶ月ヲ経タル者ヨリ撰抜シテ之ヲ命ス
  
 一、小隊 四分隊、準中尉小隊長一名、準少尉四名、準軍曹八名、準伍長二十四名、兵率九十六名、喇叭卒四名、合計百三十七名
+
第八条 上等兵ハ屯田兵一等卒中ヨリ撰抜シテ之ヲ命ス
  
 一、中隊 二小隊、準大尉中隊長一名、準中尉二名、準少尉八名、準曹長一名、準軍曹十六名、準伍長四十八名、兵卒百九十二名、喇叭卒八名、合計二百七十六名
+
第九条 二等軍曹ハ屯田兵上等兵ノ服役六ヶ月(一等卒ヲ命スル日ヨリ起算ス)ヲ経タル者ヨリ撰任ス
  
 一、大隊 二中隊、準少佐大隊長一名、準大尉二名、準中尉四名、準少尉十六名、会計方一名、医官一名、下副官準曹長一名、準曹長二名、準軍曹三十二名、準伍長九十六名、喇叭準伍長一名、兵卒三百八十四名、喇叭卒十六名、合計五百五十七名
+
第十条 一等軍曹ハ屯田兵二等軍曹ノ服役六ヶ月ヲ経タル者ヨリ撰任ス
  
 一、聯隊 三大隊、準中佐聯隊長一名、準少佐三名、準大尉六名、準中尉十二名、準少尉四十八名、会計方準少尉三名、医官三名、下副官準曹長三名、準曹長六名、準軍曹九十六名、準伍長二百八十八名、喇叭準伍長三名、兵卒千百五十二名、喇叭卒四十八名、合計千六百七十二名
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第十一条 曹長ハ屯田兵一等軍曹ノ服役一ヶ年ヲ経タル者ヨリ撰任ス
  
 検査
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第十二条 下副官ハ屯田兵曹長中ヨリ適任ノ者ヲ撰ミ之ニ任ス
  
 一、年齢十八歳乃至三十五歳身体強壮ナルモノ
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第十三条 士官以上ハ屯田兵曹長以上ノ者ニテ左ノ停年最下限ヲ超エタル者ヨリ抜擢シテ順次進級セシムルモノトス
  
下士以下昇級法
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:一 曹長ヨリ少尉ニ少尉ヨリ中尉ニ中尉ヨリ大尉ニ 満二年<br>
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:一 大尉ヨリ少佐ニ               満四年<br>
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:一 少佐ヨリ中佐ニ               満三年<br>
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:一 中佐ヨリ大佐ニ               満二年<br>
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 但少尉ニ限リ試補ヲ置キ少尉ニ欠員アル毎ニ曹長停年ノ最下限ヲ超エタル者ヲ撰ミ少尉試補ニ陛セ其才能ヲ試ミ然ル後本官ニ任ス
  
 一、曹長以下ノ欠員アルトキハ之ヲ補フニハ少クモ左ノ時問ヲ経シ者ニ非サレハ之ニ任スルヲ得ス
+
第十四条 士官以上ノ欠員ハ前条ニ示ス如ク順次進級セシメ又ハ各兵科士官以上ノ者若クハ文官ヨリ適任ノ者ヲ採用シ補填スルモノトス
  伍長 屯田兵トナリテ六ケ月ヲ経シ者
+
   
  軍曹 屯田兵伍長トナリテ六ケ月ヲ経シ者
+
== 第二章 職制 ==
  曹長 屯田兵軍長トナリテ六ケ月ヲ経シ者
+
  下副官 屯田兵軍曹トナリテ一ケ月ヲ経シ者
+
  
 勤務
+
第十五条 屯田兵本部長ハ少将若クハ屯田兵大佐一名ヲ以テ之ニ任シ直ニ陸軍郷ニ隷シ部下ノ屯田兵ヲ統轄シ其勤惰能否ヲ監視シ屯田兵本部ノ事務ヲ総理ス
  
 一、聯隊長ハ其保護ヲ要スル最大緊要ノ地ニ在テ部下諸大隊ヲシテ個所及連絡ヲ失ハス有事ニ際シテ直ニ一定ノ地ニ集合セシムルヲ要ス
+
第十六条 本部長ハ有事ノ日ニ方リテハ屯田兵ヲ指揮シ方面ノ敵衝ニ当ルヲ以テ任トス
  
 一、有事ニ際シテ集合ノ場所ハ各小隊毎ニ適宜ニ定メ置キ兵卒全ク集合スルトキハ小隊之ヲ引率シテ又各々定メラレタル地ニ到ルベシ
+
第十七条 屯田兵本部次長ハ屯田兵中少佐ノ内一名ヲ以テ之ニ任シ長ヲ補佐シテ部事ヲ整理シ長事故アル時ハ其代理ヲ為スコトヲ得
  
 一、屯田兵諸勤務ハ凡ソ憲兵ノ規則ニ據ルヘシト雖モ目下北海道ニ於テハ人民寡少事務閑暇ナルヲ以テ其細目ノ如キ之ヲ行フトキハ却テ径庭ヲ生スヘキカ故ニ各長官ノ適宜ニ処分スルヲ以テ可トスヘシ
+
第十八条 本部副官ハ屯田兵大尉一名ヲ以テ之ニ任シ本部長ノ命ヲ奉シ部事ヲ整理シ課僚書記ノ勤惰ヲ監ス
  
 一、火災、洪水、其他非常ノ際ニ於テハ屯田兵直チニ其場所ニ出張シ人民ノ危急ヲ救ヒ又其物品保護ヲ為スベシ
+
第十九条 大隊長ハ屯田兵少佐之ニ任シ部下ノ指揮ヲ掌リ勤惰能否ヲ監視シ又開墾授産等隊中百般ノ事務ヲ総理ス
  
 一、銃器、農具等ニ損所アルトキハ伍長ニ申出、伍長ヨリ係リ軍曹ニ申報スベシ
+
第二十条 大隊副官ハ屯田兵中尉之ニ任シ其隊中ノ庶務ヲ掌リ下副官以下大隊附下士ノ勤惰ヲ監視ス
  
 一、一ケ月ニ一度伍長ハ伍中ノ武器ヲ検査シ錆、損所、破綻ヲ改ムヘシ
+
第二十一条 大隊下副官ハ屯田兵曹長之ニ任シ大隊副官ノ命ヲ受ケ大隊中ノ庶務ヲ掌リ其細務ニ服セシム
  
 一、練兵ハ十二月ヨリ四月ニ至ル農事ノ間ニ当テ各所ニ中隊或ハ大隊ノ生兵ヲ集合シ生兵小隊撤兵射的ノ演習ヲ一過スルヲ要ス、巳ニ一過セシ兵ニ於テハ農間ニ当リ各長官ノ見ヲ以テ時々復習セシムルヲ以テ足レリトス
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第二十二条 中隊長ハ屯田兵大尉之ニ任シ部下ノ指揮ヲ掌リ勤惰能否ヲ監視シ又開墾等隊中ノ事務ヲ総理ス
  
 休暇
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第二十三条 小隊長ハ屯田兵中少尉之ニ任シ部下ノ指揮ヲ掌リ勤惰能否ヲ監視シ又中隊長ノ命ヲ受ケ開墾耕嫁等ノ事務ヲ分掌ス
 
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 一、私用ニテ十里以外ニ出ル者、或ハ一泊ノ旅行ハ小隊長ノ許可ヲ得、二泊以上ハ中隊長ノ許可ヲ得ヘシ
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 一、定例ノ休日ヲ除ク外開墾地へ出勤スベシ 但シ病気其他事故アル時ハ其長へ届出スベシ
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 一、年中休日左ノ如シ
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 元始祭一月三日、孝明天皇祭一月三十目、紀元節二月十一日、神武天皇祭四月三日、札幌神社祭六月十五日、天長節十一月三日、外ニ父母ノ祭日、十二月二十七日ヨリ一月七日マデ
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 諸給助及貸渡定則
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 一、諸給与ハ屯田ノ家宅ニ入ルヨリ満三年ヲ限トス
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 一、疾病アル者ハ給助年限中医薬ヲ給シ死スル者アレバ埋葬料ヲ給スヘシ
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 一、軍功死傷等ノ処分ハスベテ一般ノ軍隊ニ準スベシ
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 官物
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 一、武器 一切
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 給与品
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 農具 鍬大小二挺、砥荒中二個、山刀一挺、鐇一挺、鋸一挺、鎌柴刈草刈二柄、莚一枚
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 家具 鍋大小二個、釜一個、椀三ツ組三人前、手桶一荷、小桶一具、担桶一荷、夜具十五歳以上四布一枚三布一枚、十四歳ヨリ七歳マテ四布一枚、六歳以下給セス
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 銭糧米 七合五勺一日分
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 塩菜料 金五拾銭一日分
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 但シ十四歳以下ハ一日米五合金三十七銭五厘、六歳以下ハ一日米三合金二十銭
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 移住辨装費 金二円、十四歳以下ハ金一円
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 旅費 金三十三銭一日十里、六歳以下ハ半ヲ減ス
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 駄賃 金二円六十銭一日十里、一戸馬二匹単身者ハ半ヲ減ス
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 廃疾者帰国旅費 金七十五銭一日十里、家族七歳以上ハ金六十五銭、七歳以下ハ半ヲ減ス 単身者ハ別段手当金二十五銭
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 居宅 一戸、但シ単身者ハ一戸四人トス
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 給幼年限中妻ヲ娶ル者ハ別戸ヲ給シ妻子ノ救助ハ夫ノ満期マテトス
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 埋葬料 金十三円、家族七歳以上金七円五十銭、六歳以下ハ金三円二十五銭
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 罰
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 一、有事、平常ニ関セス凡ソ屯田兵兵器ヲ以テ犯セシ罪科ハ軍律ヲ以テ処分ス其外平常ニ在テ武器ヲ用ヒサル者ハ国憲ニ依テ処分スベシ
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 屯田兵諸官ノ職務
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 聯隊長 部下屯田兵諸隊ノ事務ヲ総理シ会計等ノ書類ヲ監シ中隊長以下徴細ノ諸件ニ関ルコト無シ 例年一度適宜ニ集合ノ地ヲ定メ部下ノ諸隊ヲ検閲ス
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 大隊長 部下中隊勤務ノ良否及会計書類ヲ監シ、聯隊長ト中隊長ノ中間ニ在テ事務ヲ為シ中隊長ヨリ出ス諸件、書類ヲ聯隊長ニ呈ス
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 中隊長 部下屯田兵ノ勤務ヲ指揮シ又専ラ会計諸務ニ任シ小隊長ヨリ差出ス諸件ノ書類ヲ大隊長ニ呈ス、又此官ハ部下小隊ノ人員諸官ノ取締ヲ管理スベシ
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 小隊長 屯田兵勤務上ノ細件ヲ管シ之ヲ指揮ス、又分隊長ヨリ出ス勤務ノ書類ヲ検シ部下ノ人員調及諸取締等ヲ司トル
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 分隊長 平常諸伍ノ勤務ヲ監シ諸伍ヨリ出ス所ノ書類ヲ小隊長ニ出ス
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 勘定方 大隊長ノ指揮ヲ受ケ用度金及諸物品武器等諸入費ノ精算ヲ為シ事務多端ナルトキハ軍曹ヲ以テ助役トス、大隊長ノ文書ハ此官之ヲ任シ中隊、小隊、分隊ノ長官及伍長等ヘ直ニ往復ス、中隊ノ人員及馬匹ノ名簿モ又此官ノ司トル所ナリ
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 下副官 大隊長ノ側ニ在テ中隊一般ノ勤務及首地ニ在ル諸伍ノ事務取締等ヲ司トル
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 軍曹 分隊長ヨリ部下ノ諸伍ニ下シタル命令ヲ能ク遵守スルヤ否ヤニ注意シ又諸伍ノ武器、諸器械ニ損所アリテ引換或ハ修繕等ノ願イ出ルトキハ精細ニ之ヲ改メ其破損ノ原因ヲ書記シテ分隊長ニ出シ処分ヲ受クベシ
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 伍長 伍中ノ取締ヲ為シ勤務ヲ指揮シ命令ノ布達等ヲ司トル、晝夜ヲ限ラス差シ起リタル事件アルカ又ハ勤務ヲ為シタルトキハ直チニ分隊長ニ報告ス、至急ノ事件アルトキハ小隊長、分隊長双方ニ報知スルコトアルヘシ、伍長疾病不在等ニ当リテハ古参ノ屯田兵代勤ヲ務ムベシ
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 兵器
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 カツトリンク砲八門、佛蘭西ボード忽砲一門、水利堅ボード忽砲一門、六角砲大門、ログツト薬六、レミントン銃千五百七十二挺、大連短銃十六挺、六連照尺付短銃三挺、短銃三挺、短スヘンセール銃五十八挺、長スヘンセール銃二十一挺、蕾色付レミントン銃百七十七挺、エンヒール百七十挺、室内射的銃五挺、十六連銃二挺、ストライトル銃七挺
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2017年9月3日 (日) 22:02時点における最新版

[編集] 屯田兵条例

 屯田兵条例(明治十八年五月五日、太政官第十八号達)
 屯田兵条例左ノ通相定候条此旨相達候事
 明治十八年五月五日太政大臣公爵三条実美
       

[編集] 第一章 総則

第一条 屯田兵ハ陸軍兵ノ一部ニシテ北海道枢要ノ地ニ配置シ本道ノ警備ニ充ツ但第七軍管管下請県ニ全ク徴兵令ヲ施行スルニ至レハ之 ヲ廃スルモノトス

 其本部ハ之ヲ札幌ニ置ク

第二条 屯田兵ノ建制ハ概ネ歩兵隊ニ基クト雖モ兵ヲ農ニ寓スルノ主旨ニ依リ平常ハ給与ノ家屋ニ居住シ開墾耕稼ノ事ニ従ハシメ有事ノ日ニ方リテ戦列隊ニ編成シ敵衝ニ当ラシム

第三条 屯田志願者(函館県札幌県根室県及沖縄県ノ在籍者ヲ除ク)中身体強壮且ツ年齢十七歳以上三十歳以下ノ者ヨリ撰用ス

第四条 屯田兵タル者ハ其家族ト共ニ北海道ニ移住シ兵役ニ服スルモノトス

 其服役期限ハ予メ之ヲ定メス故ニ服役者死亡スルカ其他事故アリテ免除セサルヲ得サル時又ハ年齢四十歳ニ至レハ其子弟ヲシテ兵役ヲ相続セレム但幼弱ニシテ未タ服役ニ堪ヘサル者ハ其成長ヲ待テ服役セシム

第五条 屯田兵ノ将校下土及ヒ兵卒ハ第六条ヨリ第十三条迄ニ依リ其進級ヲ為スモノトス
    但進級法ハ其最下限ヲ示ス者ナルヲ以テ之ヲ超ユル者ト雖モ必シモ直チニ進級セレムルノ例ニアラス

第六条 屯田兵卒ハ入隊後六ヶ月ノ後生兵学卒業ノ上二等卒ヲ命ス

第七条 一等卒ハ屯田兵二等卒ノ服役六ヶ月ヲ経タル者ヨリ撰抜シテ之ヲ命ス

第八条 上等兵ハ屯田兵一等卒中ヨリ撰抜シテ之ヲ命ス

第九条 二等軍曹ハ屯田兵上等兵ノ服役六ヶ月(一等卒ヲ命スル日ヨリ起算ス)ヲ経タル者ヨリ撰任ス

第十条 一等軍曹ハ屯田兵二等軍曹ノ服役六ヶ月ヲ経タル者ヨリ撰任ス

第十一条 曹長ハ屯田兵一等軍曹ノ服役一ヶ年ヲ経タル者ヨリ撰任ス

第十二条 下副官ハ屯田兵曹長中ヨリ適任ノ者ヲ撰ミ之ニ任ス

第十三条 士官以上ハ屯田兵曹長以上ノ者ニテ左ノ停年最下限ヲ超エタル者ヨリ抜擢シテ順次進級セシムルモノトス

一 曹長ヨリ少尉ニ少尉ヨリ中尉ニ中尉ヨリ大尉ニ 満二年
一 大尉ヨリ少佐ニ               満四年
一 少佐ヨリ中佐ニ               満三年
一 中佐ヨリ大佐ニ               満二年

     但少尉ニ限リ試補ヲ置キ少尉ニ欠員アル毎ニ曹長停年ノ最下限ヲ超エタル者ヲ撰ミ少尉試補ニ陛セ其才能ヲ試ミ然ル後本官ニ任ス

第十四条 士官以上ノ欠員ハ前条ニ示ス如ク順次進級セシメ又ハ各兵科士官以上ノ者若クハ文官ヨリ適任ノ者ヲ採用シ補填スルモノトス    

[編集] 第二章 職制

第十五条 屯田兵本部長ハ少将若クハ屯田兵大佐一名ヲ以テ之ニ任シ直ニ陸軍郷ニ隷シ部下ノ屯田兵ヲ統轄シ其勤惰能否ヲ監視シ屯田兵本部ノ事務ヲ総理ス

第十六条 本部長ハ有事ノ日ニ方リテハ屯田兵ヲ指揮シ方面ノ敵衝ニ当ルヲ以テ任トス

第十七条 屯田兵本部次長ハ屯田兵中少佐ノ内一名ヲ以テ之ニ任シ長ヲ補佐シテ部事ヲ整理シ長事故アル時ハ其代理ヲ為スコトヲ得

第十八条 本部副官ハ屯田兵大尉一名ヲ以テ之ニ任シ本部長ノ命ヲ奉シ部事ヲ整理シ課僚書記ノ勤惰ヲ監ス

第十九条 大隊長ハ屯田兵少佐之ニ任シ部下ノ指揮ヲ掌リ勤惰能否ヲ監視シ又開墾授産等隊中百般ノ事務ヲ総理ス

第二十条 大隊副官ハ屯田兵中尉之ニ任シ其隊中ノ庶務ヲ掌リ下副官以下大隊附下士ノ勤惰ヲ監視ス

第二十一条 大隊下副官ハ屯田兵曹長之ニ任シ大隊副官ノ命ヲ受ケ大隊中ノ庶務ヲ掌リ其細務ニ服セシム

第二十二条 中隊長ハ屯田兵大尉之ニ任シ部下ノ指揮ヲ掌リ勤惰能否ヲ監視シ又開墾等隊中ノ事務ヲ総理ス

第二十三条 小隊長ハ屯田兵中少尉之ニ任シ部下ノ指揮ヲ掌リ勤惰能否ヲ監視シ又中隊長ノ命ヲ受ケ開墾耕嫁等ノ事務ヲ分掌ス

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